生命・物質・地球をつくり変える合成テクノロジー。
人類が神の領域に迫りつつあるいま、
「変成新世」における未来への選択が問われる。
● 合成テクノロジー
遺伝子・原子・生命・種(しゅ)や生態系・人類自身・気候・・・
万物をつくり変えようとする最先端技術はどこへ向かうのか?
● ポストナチュラル
人新世と呼ばれるように、自然・環境はもはや人類によって改変されている。
一方で、いまだ自然は未知の力を携えており、自然と技術に関わる新たな発想が求められる。
● 巨大ビジネス
生命機械、分子製造など合成テクノロジーの新分野は、巨大なビジネスになる。
だが、世界を大きく変える技術の進展を、企業や市場に委ねるだけではいけない。
● 地球3.0
気候工学・ジオエンジニアリングは、地球システムまでつくり変えようとする。
また、生物・生態系を改変・復元するテクノロジーも進む。
こうした人類による生命や地球の管理・操作はどこまで許されるのか?
● 変成新世
気候変動や環境破壊は人類の活動がもたらしたが、それらを意図したわけではない。
しかし、合成テクノロジーは、明確な意図をもって生命・物質・地球を改変する。
このように人類が巨大な改変力を手にする新たな時代が「変成新世」である。
● 未来への選択
いま私たちはかつてない重大な岐路に立っている。
人類だけではなく、あらゆる生命・物質・地球の未来が懸かった選択である。
一人ひとりがその内実を知ることで、
市場や政府、一部のエリート任せにしない判断が急務となる。
★続々書評!
限りなく「神の領域」に近づく人類には、歯止めが必要なのか。深く考えさせられる。
ーー【ビジネスパーソンの必読書】思いがけないヒントを生む知識〜『産経新聞』
我々がいま「合成の時代」にいる現実を、テクノロジーを具体的にあげて突き付けてくる。
ーー栗原裕一郎『東京新聞』『中日新聞』
我々はどこまで世界を作り変えるべきか?
ーー冬木糸一『基本読書』
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●著者 クリストファー・プレストン
モンタナ大学の哲学教授。自然と技術に関わる環境哲学・環境倫理に造詣が深い。
編著『気候正義と地球工学』、単著『グラウンディングナレッジ 環境の哲学・認識論・場所』(ともに未邦訳)など。
●訳者 松井信彦
翻訳家。マーク・ミーオドヴニク『人類を変えた素晴らしき10の材料』、
マット・サイモン『たいへんな生きもの』、デイヴィッド・ドイッチュ『無限の始まり』(共訳)ほか多数。
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::目次::
◆「目次・解説」の立ち読みはこちら
はじめに:「合成の時代(シンセティック・エイジ)」が始まる
人類はどこへ向かうのか/自然をつくり変える/
生物圏が技術圏に覆われる/諸刃の剣
第1章: 新次元の物質をつくる
あらゆる分野に広がる/驚異的なデータ処理も可能に/
不可能を可能にする/天然と人工を超えて
第2章: 原子の位置を動かす
分子製造の熱狂と懸念/暴走グローバルエコファジー/
「べたつく指」「太い指」の問題/二重の人工物
第3章: DNAオンデマンド
もっと過激な目標/ミニマルゲノム・プロジェクト/
合成生物学の倫理/「生きる機械」の創造
第4章: 人工生物
バイオ産業機械の作業場/巨大ビジネスとリスク/
進化を超えた「デジタルの自然」/立ち止まり、自問するとき
第5章: ポストナチュラルな生態系
「自然」とは何か/エコモダンの思考/ヨーロッパの再野生化/
新奇な生態系/環境思想の大転換
第6章: 種(しゅ)の移転と復元
管理移転の実験/進化補助・適応促進/野生の自然を操る/対極的な観点/
絶滅種の復元は許されるか/ネアンデルタール人を蘇らせる?/
どの種を保存するのか
第7章: 都市の持つ進化の力
都市化する生き物/人工照明に合わせて/やかましくなる海/
市場の力に委ねてはいけない
第8章: 太陽を退かせる方法
パーフェクトモラルストーム/太陽放射管理(SRM)/
最も公正なただひとつの方法?/国際協力へ向けて/地球3.0
第9章: 大気のリミックス
二酸化炭素除去(CDR)/惑星の優れた健康法/
バイオ燃料と組み合わせて/人類は「神の責任」を担えるか
第10章: 人工人類
闇夜に向けた砲弾/肉体を超越する/決断を下すのは誰か
第11章: 未来への選択
「人新世」についての議論/自然の気まぐれな力/
先の見えない放浪の旅/開かれた熟議へ
おわりに: 野生とテクノロジー
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